【ギター演奏考察】トマティートの若きソレアに学ぶ:“手首の重さ”が生む究極の親指
- info221737
- 6月13日
- 読了時間: 3分
フラメンコギターにおいて「親指」は命だ。
そして、それを極めた一人が、トマティート。
今回取り上げる映像は、若き日の彼が弾くソレア
この1曲に、彼の「身体の使い方」「音のキレ」「フラメンコの核」が詰まっている。
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■ 手首の“重さ”を音に変える男
長年、トマティートの親指の動きには一つの謎があった。
「なぜ彼はあそこまで手首を曲げて弾くのか?」と。
一見、非効率にも思えるフォーム。
だが最近、その答えに気づいた。
👉 彼は“手首の重さ”を親指に集約しているのだ。
これが、あの重く鋭いキレのある音を生む秘密だった。
手の力を抜き、腕の重量をナチュラルに弦へ伝える。
脱力の極意と、音のインパクトを両立させる身体操作。
これぞ、フラメンコの身体知だ。
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■ 脱力 × 強さ = トマティートの流儀
一般的に「力を抜いて弾け」と言われる。
もちろんそれは正しい。だが――
ただ脱力しただけでは、音は弱くなる。
フラメンコには、「音の強さ・速さ・切れ味」が不可欠。
脱力しながらも、音が鋭く飛んでくる。
その矛盾を超えたところに、トマティートの演奏がある。
彼は、
• 手首を深く折り、
• 重さを一点(親指)に集中させ、
• 指の爪と腹で深く鋭く捉える。
これにより、小さな力でも強く響く音が生まれる。
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■ 間(ま)、切れ、呼吸のコントラスト
この演奏で特筆すべきは、音の「間」の感覚だ。
ただ音をつなげるのではなく、
フレーズの前後に“余白”がある。
その“間”こそが、次の音の鋭さを際立たせる。
音と音の間に、空気が震えている。
それが、フラメンコ特有のエッジや緊張感に繋がる。
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■ 若くしてここまで仕上がっていた衝撃
この映像は、ただのアーカイブではない。
トマティートが若くして、身体と音の本質を掴んでいた証拠だ。
• 身体の重心と力の流れを知っている
• 音の“鳴るポイント”を的確に撃ち抜いている
• 演奏の「空気感」「呼吸」「生理的な説得力」が完成されている
これが20代の若さ(多分)でできている。
正直、感嘆せざるを得ない。
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■ 最後に:我々に何ができるか
この映像をただ観て「すごいな」で終わらせるのは、もったいない。
学ぶべきはフォームではなく、発音の原理と身体の構造理解だ。
• 重さはどこから来るのか?
• 音の鋭さはどうやって生まれるのか?
• 手首の角度と親指の関係は?
そういった問いを持ちながら、
自分の身体で再構築していく。
そこに、真の練習がある。
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🎸 多摩平フラメンコギター教室では、こうしたプロの演奏も参考にし、
演奏技術と身体理解の両面からアプローチするレッスンを行っています。
「脱力と強さの両立」――これを体感したい方はぜひ体験レッスンへ。


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